7月の算定基礎届。一人社長の私が確認していること
7月は、社会保険に加入している事業所にとって算定基礎届を提出する月です。令和8年度は7月1日から7月10日までが提出期間になっています。
私の会社は6月決算なので、7月は頭の中がほぼ決算と税務の対応に持っていかれている時期です。算定基礎届自体は届出書を出すだけのシンプルな手続きですが、気持ちが決算に向いていると、中身のチェックがついおろそかになりそうになります。
しかも確認するのも提出するのも自分一人。「自分の分だけだから」と思うと、なんとなく気楽に構えてしまいがちなのが正直なところです。社員が数名程度の小規模なオフィスでも、似たような空気はあるんじゃないかなと思います。
社労士さんに依頼している会社なら、必要な資料を渡して確認してもらう流れだと思います。でも一人社長や小規模な事業者の中には、社労士さんを頼らず自分で確認して提出している人も少なくないはずです。私もその一人です。
7月が近づくと、「4月5月6月の報酬はどうだったかな」「支払基礎日数ってどう数えるんだったっけ」と、去年の資料を引っ張り出して確認するところから毎年始まります。社労士としての解説ではなく、自分自身が一人社長として、また日々のバックオフィス業務をしている立場として、この時期に確認しているポイントをまとめておきます。
*なお私は社会保険労務士ではないので、届出書の作成や提出の代行、記入内容についての個別の判断はできません。迷うところがあれば、年金事務所や社労士さんに確認することをおすすめします。
算定基礎届は4〜6月の報酬を見る手続き
算定基礎届は、4月・5月・6月に支払った報酬から、社会保険料のベースになる標準報酬月額を決めるための手続きです。
毎月の役員報酬が一定なら身構えるほどのものでもなさそうに見えますが、実際に確認すると、4〜6月それぞれの支払額、通勤手当のような報酬に含まれるもの、支払基礎日数、その間に報酬の変更がなかったか、と見るべきところは意外とあります。「去年と同じだろう」で済ませず、毎回資料を見直すようにしています。
まず資料をそろえてから書類を見る
自社分を確認するときは、届出書をいきなり見るのではなく、先に根拠になる資料を手元に置くようにしています。
具体的には4〜6月の給与明細と賃金台帳、役員報酬の金額、通勤手当の有無、社会保険の対象者、その間に報酬変更がなかったか、賞与を月額報酬に混ぜてしまっていないか、年金事務所から届いた用紙や案内、このあたりを見ます。
さっきも書いた「自分の分だけだから」というやつで、ここでもつい雑になりがちです。けれど、こういう手続きほど、あとで見返したときに金額の根拠や提出した理由がわかる状態にしておきたいと、毎年思います。
支払基礎日数は毎回見直す
算定基礎届でよく引っかかるのが支払基礎日数です。簡単に言うと、報酬の支払いの基礎になった日数のことで、原則として4〜6月のうち、一定の日数以上ある月を対象に確認します。
ここは給与形態や勤務状況によって考え方が変わるところなので、私は「去年と同じ感覚」で流さず、毎年案内や記入例に目を通すようにしています。従業員がいる場合や、短時間勤務、途中入社、休職、欠勤などがある場合は、自己判断せず確認したほうが安心です。
一人社長が見落としやすいところ
決算で気が散っているときほど「だいたいわかっているつもり」で流してしまいやすいので、毎年気をつけているところを書いておきます。
ひとつは支払月で見ること。4〜6月に「支払われた」報酬を確認する手続きなので、何月分の給与かと混同しないようにしています。締め日と支払日がずれている場合は特に注意が必要です。
もうひとつは通勤手当などの含め忘れ。社会保険の報酬には基本給や役員報酬だけでなく通勤手当も関係してくるので、会計上の感覚だけで見ていると抜け落ちることがあります。私の場合は通勤手当などはないのですが、社員を抱えている企業さんはここも要チェックですね。
賞与を月額報酬に混ぜないことも毎年確認しています。賞与は賞与として別に扱うものなので、4〜6月に支払ったからといって月額報酬に含めないようにしています。
それから、4〜6月の間に固定的な報酬変更があった場合は、算定基礎届とは別に月額変更届が必要になることがあります。ここは判断が必要な部分なので、現在はありませんが、将来迷ったら年金事務所や社労士さんに確認するようにしようと思います。
そして一番気をつけているのは「去年と同じ」で進めないこと。前年の控えは参考になりますが、その年の案内や今の状況も合わせて確認するようにしています。
「書くこと」より「根拠をそろえること」
算定基礎届は届出書に数字を書く手続きですが、バックオフィスの仕事として大事なのは、書類を埋めること自体より、どの資料を見て、どの金額を使って、なぜその内容で出したのかが、あとからでもわかる状態にしておくことだと思っています。
一人社長だと社内に確認してくれる人がいないことも多いです。だからこそ、提出前に一度立ち止まって、給与明細や賃金台帳、案内文、前年の控えをそろえて見直すようにしています。
迷ったら自分で判断しない
自分で手続きをすることと、すべてを自己判断することは別だと思っています。社員を抱えてらっしゃる企業さんですと、途中入社の人がいる、休職や欠勤がある、短時間勤務の人がいる、4〜6月に報酬変更がある、複数の事業所に関係する人がいる、記入例を見ても判断に迷う、こういう場合は年金事務所や社労士さんに確認したほうが安心です。
おわりに
7月の算定基礎届は、一人社長にとって少し気が重い手続きのひとつかもしれません。最初から難しいものとして構えるより、4〜6月の報酬を確認し、給与明細や賃金台帳をそろえ、支払基礎日数を見て、通勤手当などの含め忘れがないか確認し、迷うところは専門家に聞く、という順番で進めると、少し落ち着いて取り組めます。
一人社長のバックオフィスは後回しになりがちですが、こうした年に一度の手続きをきっかけに、自社の給与や社会保険まわりを見直すのも、会社を整える時間のひとつだと感じています。
※本記事は、算定基礎届の時期に確認しておきたい一般的な事項を、一人社長・バックオフィス担当者の立場からまとめたものです。個別の届出書類の作成・提出代行、具体的な記入内容の判断は行っていません。ご自身の事業所の状況に応じた判断が必要な場合は、日本年金機構・年金事務所、または社会保険労務士へご相談ください。
